2008年11月28日金曜日

2008年11月28日 (金)

(実現します!)市の奨学金の支給額引き上げが決まりました!

いよいよ今日から12月議会が始まりました。
ほぼ毎回、議会初日に一部の議案が、「即決」と言って、提案→質疑→議員間の討論→採決されます。
今回、そのうちのひとつに、この前に述べた議案「海老名市奨学金条例の一部改正」がありました。
討論で賛成の立場で発言しました。本来は憲法、教育基本法、また国際的な潮流により、国が責任を持って経済的困難を持った若者の進学を保障するべきですが、そうでない現状があり、地方自治体が果たす役割は大きいことを述べました。
今回の改正は、求められる水準に比べて支給額(年額9万円以内→12万円定額)は確かに十分とは言えないものの、明らかに制度を充実し前進させるものである、と明確に賛成することを表明しました。
採決では最終的に3人の共産党市議団全員も含む議員23人全員(議長は除く)の全会一致で可決しました!
本会議が終わった後、国政では共産党と考え・立場を異にする他の会派の先輩議員さんから「討論、良かったよ。これからもがんばろう」、同じく国政ではさらに大きく考え・立場を異として厳しく対峙している他党の先輩議員さんも爽やかに「今回は共産党さんの実績ね!」とそれぞれ声をかけていただきました。
9月議会で取り上げたことが市政に反映され、1期目議員としてうれしい限りです。
支給の対象は主に高校生で、支給額の引き上げは来年度からの支給分からになります。
一人でも多くの高校受験生が経済的な理由で進学をあきらめることなく、また途中で退学せざるを得ない高校生を一人でも減らせる様、引き続き制度の充実に向けて取り組みます。
奨学金の財源(独自基金)は、19年度末(決算)で1.1億円あります。支給額の引き上げ(※とりわけ私立高校生に手厚く。お隣の厚木市では、公立校は年12万に対し、私立校は年18万を支給しています)は十分可能です。

以下、議場での私の賛成討論です。
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 わたくしは、日本共産党を代表し、議案第64号「海老名市奨学金条例の一部改正について」に関し、討論の発言をいたします。
 前回9月議会の「文教社会常任委員会」でもわたくしは指摘しましたが、海老名市の運営する「奨学金」制度は、支給額が年間9万円以内に留まり、受給者の置かれている厳しい経済状況や、実際に必要となる教育費との関係では、十分な水準とは言えませんでした。
 日本の学費は世界一高い水準であり、「国民生活金融公庫」の調査によれば、高校入学から大学卒業までにかかる費用は一人平均1千とんで45万円、家計に占める子どもの教育費は年収の34%にも達しています。
 とりわけ近年のわが国の教育状況において見過ごせないことは、“貧困と格差”の拡大の中で、親の失業や経済苦により進学をあきらめたり、学費を払えず学校を去らざるをえない若者が増えていることです。「1年間で2クラス分くらいの人が高校をやめた」など、その実態は極めて深刻です。
 わが国の憲法は第26条で、国民に“ひとしく教育を受ける権利”を保障し、「教育基本法」は第4条で“すべての国民は……経済的地位……によって教育上差別されない”と明記しています。
いま起きていることは、憲法と法律が禁じている「経済的地位による教育上の差別」そのものです。
 世界的な視点で見ると、1966年に国連総会で採択された「国際人権規約」は、第13条で「高校や大学の教育を段階的に無償にする」と定めており、アメリカを含め欧米のほとんどの国では高校の学費はなく、大学でも多くの国で学費を徴収していません。
 学ぶ意志のある若者が教育を受けることは基本的人権の一つであり、経済的理由で妨げられるべきではありません。若い世代が学校で新しい知識や技能を身につけることは、社会の維持・発展にとって不可欠なことであり、社会全体の貴重な財産となります。それだからこそ、学費をできるかぎり低額にとどめ、無償に近づけてゆくことが世界の趨勢となっているのです。
 あらゆる面で高度に発展したわが国において、後期中等教育とも言われる高等学校は進学率が全国で97%を超え、最も進学率の低いわが神奈川県においても89%となっており、実質的には“準義務教育” ともいうべき段階となっています。
 その一方で、経済的理由で高校に進めなかったり、途中で退学する生徒が増えています。また、今年の新学期では、期日までに入学金が未納だからという理由で、生徒を入学式から排除するという事態も発生しています。
 高卒資格は、上級学校への進学や将来の職を得るための各種の資格取得の条件ともなっており、経済的な困難のもとでも高校に進学する意志のある若者が学ぶことは、本人の将来にとってはもとより、地域、また日本社会全体の維持・発展にとっても重要な意義を持つものです。
 以上の観点から、わたくしたち日本共産党は、経済的理由で学業を断念する若者をこれ以上出さないために、今年の4月、提言として『「世界一高い学費」を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために』を発表しました。
 本来、国が責任を持って、若者が経済的な理由により勉学をあきらめることのない様に、実効的な対策を講じることが求められますが、十分ではありません。むしろ、それが一部逆行すらしている状況の中で、直接住民と接し、若い世代の学びを保証する最後の砦となる地方自治体の役割は極めて重要で大きいものがあります。
 そのために、ほとんどの自治体が、独自の奨学金給付制度を設けてきました。
 今回の条例改正案では、奨学金の支給額を年間9万円以内から、12万円に引き上げる提起となっています。
 わたしたち日本共産党市議団は、奨学金支給の対象となる世帯の厳しい経済実態や、とりわけ私立高校に進学する生徒の学費等の負担との関係では、市の奨学金基金の残高、1億1千万円を活用した、大きく踏み込んだ規模での支給額の引き上げが必要であると考えます。
 例えば、お隣の厚木市では、公立学校に進学する場合は年額12万円としながらも、私立学校に進学する場合は年額18万円としています。
 しかしながら、今回の提起は、従来の給付額の水準の引き上げという前向きな方向のものであり、今回、日本共産党市議団として賛成する立場を明確に表明するものであります。
 以上、賛成の立場での発言を終わります。
(了)